本当は怖い エリス&トム
映画「エリス&トム」を観に行ってきました。
ブラジル音楽史に残る名盤「エリス&トム」。
リリースから50年を経ても、その美しさは比類がないと感じます。
このアルバムの録音風景のドキュメンタリー映像が、映画「エリス&トム」の主要な部分です。
エリス・レジーナとトム・ジョビンの他にも、沢山の凄腕ミュージシャンの映像が観られて、興奮しました。
ところが逆に、今回の映画化にあたって追加撮影されたセザル・カマルゴ・マリアーノの証言映像には、背筋が凍るような思いがしました。
セザルはアレンジャー兼ピアニストとして参加しましたが、プロデューサーの事前の仕切りの甘さが原因で、アレンジを巡ってトムと対立。
アルバム制作が頓挫したのです。
トムとセザルの双方に一理あり、これは完全にプロデューサーのオーガナイズの問題!
セザルの才能と忍耐のお陰で何とか乗り越えたものの、彼の置かれた立場が気の毒すぎる。
この偉大な音楽家が、若い時にこんな憂き目に遭っていたとは…。
こういうのはきっと、どんな音楽家であれ、一生根に持つ事案だぞー!
セザルは内心「トム好みのアレンジくらい、いくらでも書けますけど?何か??」とでも思いながら仕事したんじゃなかろうかと、想像します…。
映画を観た直後、ちょうど現在進行形で彼の身に起きている問題(過去のアルバムのリマスターで、実子たちと対立)のニュースも聞こえてきて、ますます気の毒になりました。
「エリス&トム」は人類の遺産と言うべき名盤だということに変わりはないものの、映画を観たあとは少し聴こえ方が変わりそうです。
「本当は怖い エリス&トム」として。


